2014年8月17日午後 第2回奨学生セミナー

水プロジェクト訪問の後、ギドンゴ製茶工場にて第2回奨学生セミナー・交流会を開催しました。 優秀にもかかわらず貧しいがために高校に進学できない学生に対し、高校の授業料を支援する活動を2011年から行っています(選考についてのエピソードはHPの「ケニアからの手紙Vol.20」をご覧ください)。

2011年に入学した第1期生5名も、いよいよ最上級の4年生。 今年新たに決定した新1年生8名も加わり、現在26名の学生が、「ケニア山の紅茶」をご愛飲いただいている皆様のご支援で、勉学に励んでいます。


セミナー開始は14時から。私たちが到着したのは13:30すぎ、 ちょっと早かったかな~?会場である製茶工場には学生さんがまだ来ていません!! 工場長やスタッフさんとおしゃべりしていると、だんだんと学生たちがやってきました。 …が、開始の14時になっても全員が集まらず。 ケニアといえば、交通事情やなんやらで時間通りに事が進まないのは普通のこと。 私たちはあまり気にしていなかったのですが、工場長やスタッフたちがちょっと心配し始めました。
とりあえず、お昼を食べながら待つことになり、お祈りしてからお食事開始(この地区では、ほとんどがキリスト教徒)。昨年同様、工場勤務のスタッフが腕によりをかけて食事を作ってくれました。 こちらで使うチキンは地鶏で肉が硬く、お肉に味のあるおいしいチキン。地鶏はクリスマスなどのイベントでないと食べられないので、ありがたくいただきました。 野菜シチューをライスとチャパティと一緒にいただきます。食後はメルー産のスイカとオレンジ。おなか一杯になるころに、学生たちも集合しました。

 

<ムワンギ工場長>
時間通りに学生が集まらなかったことにおかんむりで、まずはお説教から始まりました。

「若者たちよ!約束に遅れないこと!15分前に来るのは当たり前のことだぞ!
私はここの工場長だ。だからいつも誰よりも先に工場にやってきて、そして、真っ先に家に帰る!(笑) 私が帰らないとみんなも帰れないからね。
ルールを守ることは大事だ。時間、規則を守ろう。
去年も言ったことだが、このプログラムに必要な書類を、丸川さんの事務所に提出することはとても重要だ。丸川さんは君たちの成績を知る必要がある。

最終学年の4年生になって進学コースを選ぶときは、まわりの大人から正しいアドバスを受けなさい。
そして上級生は下級生の面倒をみるように。将来大学へ行ったら、またここに戻ってきて、自分が学んだことを下級生に教えるようにしよう。
みんながアンバサダー(大使)になろう!」

 

<ムレイディ農家代表>
「このギドンゴ製茶工場から紅茶を買い付けている会社はいくつもありますが、このような奨学金プログラムを設けている会社は、丸川さんの会社だけ。このようなプログラムはほかの工場では見当たりません。

私と丸川さんは20年来の親友です。友情の印は『教育でお返しする』ということを教えてくれた大切な友人です。丸川さんの会社は大きな会社でないが(笑)、大きなGiving Heart(与える心)を持っています。
他の人は、私が丸川さんの友人であることをうらやましく思っているし、私はこのことを誇りに思っています。 
君たちはこの土地の出身であることを誇りに思いなさい。そして、努力して大学へ行くことでお礼を返しなさい。
丸川さんは君たちの親なのだから。(注:奨学生のほとんどは孤児・ひとり親)
子どもが良いことをすれば、親は喜ぶ。そして、みんな自分が大人になったら他の人を助けよう。君たちには、希望があるのだから」

 

<キアル農家副代表>
「私たちは国際的基準で高級な紅茶を作っており、その紅茶のおかげでみんなにはこのような機会が与えられました。
みんなは勉強で恩返しをして、将来はより良いパフォーマンスをして他の人を手助けしていこう。
プレッシャーに負けず、自分自身でいなさい。
善い行いをして正直でいること。麻薬・お金・お酒などの誘惑に負けてはいけない。」

 

<日本ケニア交友会スタッフ・ムンガイ氏>
「今日は特別な日です。
遅刻したのはだれか、とは言わないが、こんな大切な日に、なぜ遅れてきたのでしょうか?
ルールを守り、約束の14時前には来るべきです。

4年生になったら、今後の道を決めていかなければなりません。
何になりたいかをよく考えて、そのためには何が必要か、知ることが必要です。
そのためには、君たちと私たちが、お互いに協力し合わなければなりません。
もちろん、皆さんが私たちに協力していない、と言っているわけではありません。
しかし、学校と連絡を取って君たちの学費を支払っているのは私たちです。
自分は何をすべきなのか、いつも考えて行動することが大切です。
少しの協力でよいのです。成績表と授業料のお知らせを忘れずに私たちのオフィスに提出するようにしてください。出せない事情があるときは、必ず連絡をください。」

 

<日本ケニア交友会代表・丸川正人氏>
「人間は話すことができます。ということは、ウソをつくこともできます。

この工場では、農薬を使わずに育てた紅茶の葉を使っているということは、本当のことです。今回の訪問の目的の一つは、その安全な紅茶を自分自身で確かめるためにやってきました。
紅茶農家の皆さんの協力のもと、農薬を使わない紅茶を日本のマーケットに広めていく、というのが私たちの使命だからです。

この奨学金プログラムを始める前には、私は君たちのことを知りませんでした。
君たちがプログラムに推薦されて、私と知り合ったのです。
さあ、ムンガイ氏にもっと仕事をさせましょう!(笑)成績表を私たちの事務所に送ればよいのです。
私たちに返事・連絡をしないということは、私たちの助けがいらないということになります。手助けが必要な人は、君たちのほかにもたくさんいますよ。
君たちは、わかっているでしょう。努力をしていなかったら自分はこの中にいなかったと。
今のケニア経済はポジティブに発展しています。君たちには、ケニアでよい仕事に就けるチャンスがあるのです。私は君たちが生まれるからケニアを見ているから、よくわかります。昔に比べはるかによくなった時代に、君たちのチャンスを生かしてください。」

 

この後、学年ごとに奨学生が立ち上がり、自己紹介。支援してくださっている日本のみなさまへ、感謝の意を述べました。そのなかで、新1年生のムリウキ君が、「僕、転校したいでのすが…。学費が値上がりしたから…」と相談をもちかけてきました。
私たちのプログラムは、学費の75%を支援、残りの25%は家族や地元のコミュニティで支払うことになっています。学費を全額援助しないのは、地域を巻き込んだ教育支援活動にするためです。
今の学校は好きだけど、家族のために学費の安い学校に転校したいというムリウキ君に、「今の学校できちんとした成績を収めることができるなら、家族の負担は今まで通りでよい」と丸川さんは話しました(プログラムの学生たちが通っている学校は、進学校で、転校しない方がもちろんよいので)。

日も暮れてきてひんやりしてきた頃に、セミナーは無事終了。 最後に記念撮影をしてお開きとなりました。今夜の食事は恒例のヤギ肉料理です!

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