ケニアからの手紙 vol.33

2023年11月22日発行

ナイロビに向かって近づく雨雲
ナイロビに向かって近づく雨雲

◇小雨期の話

 

こんにちは、ひさこです。10月にケニアに行ってきましたので、その時の様子を少しお伝えします。

一応、ケニアの小雨期は10月中旬~12月ということになっています。気候変動が今のように大きな話題になる前は、ケニアの人に聞くと、予定通り来ても来なくても「10月中旬が小雨期の始まり」と答える人がほとんどでした。

この9月「今度の小雨期は、エルニーニョも来るから大雨だ。準備しなさい」と政府が発表したので、農家のみなさんは、期待してせっせと畑の準備をしたそうです(この数年は大干ばつで降雨が十分でなかったので)。

 

 

エルニーニョの大雨を期待して畑を耕し、大雨期用の種を植えた農家さんたち。なのに10月に入ってしばらくして、政府は「いつもの小雨期の雨だけで、エルニーニョは来ない」と言ったらしく、農家のみなさんは「政府の発表を信じた私たちの畑への投資はどうしてくれるのか!」と怒りとともに落胆していました。

とはいっても、いつもの小雨期は来たようで、雨期が始まる10月終わりに、私は日本に戻ってきました。そして、このところのニュースを見ていると、雨がずいぶん降っているようです。ひょっとしたら、当初の発表どおりエルニーニョによる大雨が来ているのかもしれません。

 

自然のことはどうしようもできませんが、適度な「恵の雨」が降りますように。

 

 

◇ケニアの奨学生からのお礼のレター

 

昨年10月の手紙に続き、高校を卒業した奨学生からのお礼のレターをご紹介いたします。まずは、前回も手紙を書いてくれたアン・ンカザさんから:

 

こんにちは。私の高校時代のみなさまの揺るぎないご支援に、感謝の意を表するためにこの手紙を書いています。

 

みなさまの寛大なご支援が私の人生に与えたすばらしいインパクトを、大きな喜びとともに思い返しています。私の可能性に対するみなさまの思いとご支援は、まさに私の人生を変えるものでした。みなさまのサポートのおかげで、私は自信と決意を持って自分の夢と学業を修了することができました。

 

みなさまのサポートは、経済的負担を軽減するだけでなく、学び、成長し、視野を広げる機会というかけがえのない贈り物を私に与えてくれました。みなさまの学費支援を通じて、前向きな将来を組み立てる知識、スキル、経験を得ることができました。

 

みなさまからの支えは、私が学業を追及すること、そして教育の道のりのあらゆる面で努力する動機となっています。みなさまのサポートは常に原動力となり、チャンスを最大限に活用するという強い責任感を私に植え付けてくれました。

 

これまでのご支援が、学校の教室を超えたものであることを知っていただきたいと思います。私に、より大きな夢を持ち、より熱心に働き、より明るい未来を想像する力を与えてくれました。私はこれまでに得た知識とスキルを活用し、自分の地元や社会全体にプラスの影響を与えることに全力で取り組んでいます。

みなさまが私に与えてくれたのと同じやり方 ~必要としている学生たちに教育の支援、目標達成のサポートをすること~ で、世界に恩返しできる日を楽しみにしています。

改めまして、みなさまの寛大さ、私の可能性への信頼、そして与えてくれた機会に感謝します。みなさまのご支援、教訓と与えてくださったチャンスに対して、生涯を通じて感謝し続けます。

 

深い感謝と温かい敬意を込めて。

アン・ンカザ

次は、エノック・ムウェンダ君からの手紙です:

 

こんにちは。私は、メルーのNkubu高校在学中にいただいたみなさまのご支援に対し、心からの感謝の意を表するためにこの手紙を書いています。

 

みなさまのご支援は、私の高校生活に大きな役割を果たしてくれました。学費を心配することなく勉強に集中することができました。みなさまのサポートのおかげで、優秀な成績を収め、学校のさまざまなプログラムに参加し、充実した高校生活を送ることができました。

 

ギトンゴ製茶工場敷地内での毎年のセミナーでのご指導やアドバイスは、私の学業と人間形成にとても役立ちました。学習意欲が高められ、それが私を目標に向かって突き動かし続けました。みなさまの教育への取り組みは、私の人生に揺るぎない素晴らしい影響を与えてくれました。

 

私は何とかAマイナスを取得し、臨床医学の学士号を取得するためにKirinyaga大学に入学しました。このコースは人々に役立つと信じています。

 

次の教育のステージへの出発に際し、私はセミナーで得た教訓、価値観、経験を大切にしていきます。みなさまのサポートは将来への扉を開いただけでなく、私に深い責任感と、コミュニティや困っている人々に恩返しをしたいという気持ちにさせてくれました。

 

私を信じて奨学金の支援をしてくださったみなさまに、心からの感謝の意を表します。私に与えてくれたチャンスを最大限に活かしていきます。貴団体から受けたご支援に対し、いつかお返ししたいと思っています。

 

改めまして、ご支援に心より御礼申し上げます。心から感謝しています。

 

心をこめて

ムウェンダ・エノク

 

次は、モリーン・カグウィリアさんです。

 

こんにちは、モリーン・カグウィリアです。2016 年から 2019 年までNkuene女子高等学校で高校教育を受けていた間、学費のサポートをしてくださった貴団体に心から感謝の意を表したいと思います。

 

現在、私はKirinyaga大学の 4 年生で、経済学と統計学の学士号取得をめざして学業にはげんでいます。ここまで到達することは、みなさまの助けがなければ不可能でした。心から感謝しています。間もなく大学教育を修了しますが、自分の地元の社会に大きな恩返しができるよう、努力し成功したいと思います。改めて、感謝申し上げます。ご支援、本当にありがとうございました。

 

心をこめて、モリーン・カグウィリア

 

次は、ウィルフレッド・コオメ君からの手紙です:

 

こんにちは。私はウィルフレッド・コオメと申します。Dedan Kimathi工科大学の最終学年で、化学工学の理学士号取得をめざしています。

 

私は高校4年間、日本ケニア交友会の奨学金プログラムの奨学生でした。私は丸川氏と日本のみなさまがこの地域への支援に感謝の気持ちを伝えるために、この手紙を書いています。このプログラムは、私を含め、多くの弱い立場にある学生を助けてくれています。また、多くの奨学生が学業で夢を追求するのにも役立ちました。

 

私が今ほぼ終わりに近づいている学業の道のりを助けてくれたことに心から感謝しています。

私はしあわせな奨学生です。神さまのご加護がありますように。近いうちに貴団体と連携し、この地元に貢献し続けたいと考えています。ありがとうございました。

 

心より

ウィルフレッド・コオメ

 

最後は、エスター・ムナニアさんからのレターです:

 

こんにちは。高校在学中の 2016 年から 2019 年にかけて、私と私の家族に与えていただいた経済的支援に感謝の意を表したいと思います。私はエスター・ムナニアと申します。現在、KilifiのPwani大学の 4 年生で、英語と言語学の学士号取得をめざしています。

 

高校の4年間、みなさまの経済的支援は、私の学校生活において重要な役割を果たしてくれました。当時、学費の心配もなくなり、負担が軽減されたおかげで勉強に集中することができたのは、すべてみなさまのおかげです。

あの時の私に対するみなさまの利他の心に感謝しています。私たち奨学生たちがセミナーで丸川さんとそのチームに会った際、丸川さんが私たちに言っていた言葉が大好きです。「私たちが成功したら、私たちも社会に恩返しをすべきだ」ということです。もちろん、そうします。

 

学費の支援をしていただいたことに、心から感謝いたします。本当に感謝していますし、これからもそう思い続けます。

 

神さまのお恵みがありますように。

エスター・ムナニア

 

 

郵便振替口座 00110-5-450063

日本ケニア交友会寄付金・奨学金係

ゆうちょ銀行 店名 ゼロイチキュウ

 

当座0450063

 

寄付専用の郵便振替用紙もご用意しております。

ご入用の方は、お申し付けください。

いつもご支援くださり、ありがとうございます。

 

◇大人のための小学校の話

ケニア滞在中、丸川さんのおうちでお世話になっていました。近所には丸川さんの奥さんの妹・グレースさん一家も住んでいて、よくお子さんたちも遊びに来ていまいました。

丸川さんの奥さんは、7人弟妹の一番上のお姉さん。お父さんが早くに亡くなったため、働きに出ているお母さんの代わりに、彼女が弟・妹たちの面倒をみてきたそうです。

 

さて、10月最後の日、アプリの電話でケニアの奥さんと話していたら、その妹・グレースさんがKCPE(小学校卒業資格試験)を受けているんだと聞き、びっくりしました。「なぜ?」と聞くと、彼女は小学校には通っていたけれど、ちょうど卒業試験の頃にお父さんが亡くなり、試験を受けるためのお金が払えず、学校から追い出され、試験を受けることができなかったと。奥さんによると、幼いグレースさんは「試験を受けたい!」と泣いて、すごく泣いて、本当に悲しかった…、と話してくれました。

 

そのグレースさん(子ども3人、43歳のママさん)、ひそかに大人のための小学校に通っていたそうです(ちなみにケニアでは、ファーストネームの「グレースさん」とは呼ばずに、「ママ ◎◎」と呼びます。◎◎には、彼女の最初の子の名前を入れます。ですので、グレースさんの場合は、「ママ・マーシィ」。お父さんは「ババ・マーシィ」。この呼び方のほうが、リスペクトがある感じなのだと思います。ケニアでは、子どもがいる場合、ファーストネームでは呼ばないのが普通。ファーストネームで呼ぶのは、欧米的なのだと思います。※個人の見解です)。

 

さて、ママ・マーシィ、早朝は子どもの学校の準備、そして自身の学校に行く前には丸川さんの事務所の清掃担当、そして大人の学校へ。自分の学校が終われば家に帰り、昼間出来なかった家事や夕飯づくり…。

 

忙しい中でも、大人のための小学校で必要な時間を学び、今年のKCPE(小学校卒業資格試験)に臨むことになりました(もう試験は終わっていますが)。試験の科目は、英語、算数、作文、理科、スワヒリ語、スワヒリ語の作文、社会(宗教:キリスト教とイスラム教)。3日間に渡り、行われるようです。

 

彼女が通っていた「大人のための小学校」は、ナイロビから30kmほど離れた郊外のUtawalaにあります。彼女の家からも無理なく通える距離です。このような学校が実はけっこうあるらしく、大人用の制服もあるのだとか。ママ・マーシィの通っていた小学校は、朝から夕方まで先生がいて、生徒さんの都合のよいときに、1日3時間勉強する(課題をこなす)のだそうです。わからないときには先生に聞きます。この小学校には、男性26人、女性12人と、男性の割合が多いと教えてくれました。

 

小学校だけでなく、「大人のための高校」も、数がもっと多いらしいです。通常、ケニアの高校教育は4年間ですが、大人の学校の場合は、2年間で4年分をやるそうです。Utawalaにある「大人のための高校」では、今年84名の大人たちが、KCSE(高校卒業資格試験)に臨むということでした。生徒さんは、働いている男性が多いそうです。想像するに、かつて何らかの理由で試験を受けられなかった人たちが、時間とお金の余裕ができた今、再度チャレンジする、という感じでしょう。ケニアの成長の度合いや、活気があふれる理由は、こういった再挑戦の機会があり、教育に対する強い意欲からきているような気がします。もちろん、この再挑戦をさせてくれる環境や、それにチャレンジする人を支える社会(家族やご近所さん)の精神的余裕、文化的な寛容さみないなものがあるから、お父さんやお母さんの年齢になっても、学業を修めることが可能になっているのだと思います。

 

12月の初めに、試験の結果が発表されるそうです。ママ・マーシィ、晴れて小学校を卒業できたら、今度は高校にチャレンジするのだそうです。

 

アフリカ布のコースター
アフリカ布のコースター

◇11月は紅茶月間

11月1日は「紅茶の日」。そして、11月は「紅茶月」ということで、いろいろなところで紅茶関連の催しがありますね。

私たちの合言葉は「Anytime is Teatime~いつでもティータイム~」。11月はもちろんのこと、一年をとおしてケニアの紅茶産地とつながっている「ケニア山の紅茶」を楽しみましょう。(ひさこ)

 

 

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