こんにちは、ひさこです。少し前ですが、5月11日「世界フェアトレード・ディ」に開催された講演会に参加し、オーガニックコットンとフェアトレードに関わる方たちのお話を聞いてきました。コットンの産地では、受粉や摘み取りなどに多くの人手が必要だそうで、コットン生産量が世界1位のインドでは、綿花畑での児童労働が大きな問題になっています。綿花畑のある村では、「学校に行って何のためになるの?」と、日々の生活のために子どもを畑に送るそうで、まずは親への教育が児童労働をなくすための第一歩だと、現地で活動するNGOのスタッフが話していました。インドの歴史や複雑な背景があるため、簡単にケニアと比べてはいけないとは思いますが、ケニアの一大産業である紅茶の生産現場では、子どもが働いているのを見ないことに気づかされます。学校が長期の休みのときに、家のお手伝いとして、茶畑に入ることがあるかもしれませんが、基本的に「子どもは学校で勉強」というのが、多くの親の共通の思いです。
以前、ナイロビに住んでいたとき、アパート近くの路上でバナナやピーナッツを売っているお母さんがいました。夕方になると学校が終わった女の子がお母さんの近くで待っていました。そのお母さんに話を聞くと、「娘は近くにある小学校に通っている。私はまともに教育を受けられなかったから、自分の子には学校でちゃんと勉強をしてもらいたい。そして、ちゃんとした仕事についてほしい」と話していたのを、今でも覚えています。都会には作業する畑がないから、児童労働がない、というのではない気がします。ケニアでは、かなり人数が「子どもには教育を」と考えていると思います。茶畑での作業は、大人の仕事です。
チョコレートの原料・カカオ、コットンの原料・綿花などを生産する国に比べ、なぜケニアは児童労働がほとんどないのか、丸川さんに聞いてみました。ケニアの紅茶の場合、紅茶の輸出会社であるKTDA(Kenya Tea Development Agency = ケニア紅茶開発社:ケニア独立の際、アフリカ人の小農家が紅茶で現金収入が得られるように組織された公社、2000年6月に民営化された)が、茶畑で子どもを働かせてはいけないと、製茶工場や紅茶農家に根気よく伝えたため、浸透したそうです。ケニアの紅茶は、イギリスをはじめヨーロッパに多く輸出されます。だからなのか、生産現場での理解も早かったのかもしれません。…いや、でも、チョコレートもたくさんヨーロッパに輸出されるよな…など思いながら、ケニア人の理解力の高さ、新しいことを取り込む早さを、改めて感じました。
おいしいのはもちろん、作られている環境も健全な「ケニア山の紅茶」です。たくさん飲んで、紅茶農家さんや若い学生さんたちを応援しましょう。これからもご愛飲とご支援をよろしくお願いいたします!
丸川さんのコメント
もう20年以上前になるかと思いますが、奨学金援助を始めた頃、8年の小学校を終了して、初等教育卒業資格試験(KCPE)を受験した生徒の、生まれた子供の人数に対するパーセンテージは、50%少々でした。12年教育終了の中等教育卒業資格試験(KCSE、日本の高校卒業にあたる)の受験者は、20%弱 でした。現在は、KCPE-90%。KCSE-50%。になっています。貧しいなかでも、子供に教育を受けさせようという、親の熱意が感じられます。ちなみに、ケニアの2018年度の一人当たり名目GDPは、日本の20分の一以下です。
紅茶産業以外で、児童労働はどうなんだ、という話しです。
私はナイロビの中心街から30km以上離れた郊外に住んでいるのですが、今ここRUAIは、新興住宅建設ラッシュで、そこらじゅうで建設工事が行われています。住民の半分近くが建設関係者か、その家族だと思われます。というより、仕事があるので、人が集まって来ている、という感じでしょうか。(多分、この地域の人口は、10万人くらい)
しかし、子どもが建設現場で働いているというのを、25年間住んでいて、見たことも、聞いたこともありません。
先日、うちのゲートに女の子が来て、高校にKCPEでとおって、呼ばれているのだけれど、お金が無くて行けません。助けてください。とのことでした。お母さんはシングルマザーで、洗濯や掃除を手伝って生活している、との事。援助してやることにしました。
ところで、建設労働者の日給は約800円、経験のある大工さんは、1,500円くらいです。