ケニアのバレンタインデー

バレンタインデーの特別ディナーのチラシ
バレンタインデーの特別ディナーのチラシ

日本のバレンタインデーは、女性が男性にチョコレートをプレゼントする日ですが、ケニアはそうではありません。首都ナイロビでは、赤いバラを持って、カップルが少々無理して高いレストランで食事をする、というのがこちらのバレンタインデーです。ナイロビのレストランが一年のうち、ダントツに混む日が2月14日バレンタインデーだと、この筋の専門家から聞きました。

 

紅茶の産地・メルーでも、この流れが入ってきているようです。今年のバレンタインデー前日、ちょうどギドンゴ製茶工場に来ており、その日は、その地域の県庁所在地であるMERU市(人口約40万人、多分)にあるMeru Slopes Hotelに泊まりました。夕飯を食べようとホテルのレストランに入ると、翌日のスペシャル・メニューのチラシが各テーブルおいてありました。ウェイトレスさんに聞くと、幅広い年齢層のカップルが来るわよ、と話してくれました。ナイロビだけでなく、地方都市でもバレンタインがカップルのイベントとして広まっているようです。

 

バレンタインデーからもうかがえるように、ケニアが経済的に発展しており、レストランで食事ができる中産階級が増えつつあるというのが読み取れます。低開発国の経済発展を学んだ、ケニア滞在歴40年の丸川さんの経験によると、今後もケニアは発展するでしょう。しかし、資本主義の経済発展の過程では格差は必ず生まれ、一人当たり一日2ドル以下で生活を余儀なくされる貧困層が多くいることも忘れてはいけない現実です。実際、田舎(特に乾燥・半乾燥地帯)の現金収入のない人たちは、お父さんがナイロビに出稼ぎに来て働き、田舎に仕送りをして家族を支えている人が多くいます。でも、ナイロビで仕事が見つかる人は、ラッキーな人、家族です。旱魃が来ても飢えませんし、子供の学費も何とか払えます。

 

メルーでも、朝夕は交通渋滞が起こるようになり、少しずつ豊かになっている様子がうかがえますが、大多数の住民は、農業で生計を立てている小規模の農家さんたち。私たちの「ケニア山の紅茶」は、紅茶栽培を軸に生計を立てているその農家さんたちが作ってくれています。そう思いながらいただくと、紅茶がますますおいしく感じられませんか。紅茶に限らず、どんなものでも、作っている人がいるということを思い出しながら、感謝していただきたいと思っています。