私がケニアで働いていたころ、毎日毎日、Githongo製茶工場で10日前ほどに生産された、新鮮な紅茶を普通に飲んでいました。紅茶の質がよくおいしい季節には、念入りにテイスティングをし、「おいしいっ!」と感動したものを買い付けているケニア交友会です。日々継続してのテイスティングなので、季節の微妙な変化が感じとれます。
おいしいものを食べたり飲んだりして「感動する」ということは、普段の生活ではそんなにありません。たまに遭遇するから「感動する」のでしょうけど…。今回「感動の紅茶」に、ここ日本(東京)で巡り会いました。さて、どこの紅茶かと言いますと…
私たちの「ケニア山の紅茶」から出てきた「粉茶」です!
「BP1」や「PF1」とは、工場でサイズによって篩い分けされたグレード(等級)のこと。紅茶を保存用の缶などに移し替えるときに、袋の底には、紅茶の粉が残ってしまうことがありますが、これは、紅茶がこすれてできたもので、これくらい細かくなっても歴とした紅茶です。私たちは、紅茶を小袋詰めしていたときに出た、細かい茶葉…というよりは、ほとんどパウダー状の茶をかき集めて、ティースプーン中盛り1杯分(=カップ1杯分に相当)になったところで、飲んでみました。ちなみに、この一杯分を集めるのに使った茶葉は20キロ!
このようなBP1やPF1よりさらに細かい茶葉にも、等級(グレード)がつけられ、オークションで取引され、世界の市場に出回っています。ただ、ほとんどがティーバッグに入っているため、ルースティではなかなかお目にかかることはできません。これらは、PD(ペコー・ダスト)やD1(ダスト1)と呼ばれ、生産の割合もそれぞれ、PD=約10%、D1=4~6%と少なく、D1はかなりレア~な茶葉です。
「ダスト」なんて英語名がついているので「ちり、ほこり」なんて思ってしまうかもしれませんが、りっぱな茶葉です。
「細かい紅茶⇒安い⇒たいしておいしくない」こんな構図が頭の中にある人も多いようで、茶葉の形状から「安いお茶なんでしょ」と軽く見られることも…。そんなことは決してないのです!!
ご存知のとおり、お寿司屋さんで出される「あがり」は、粉茶。「荒茶から煎茶を作る製造工程で出た粉状の切れ端を集めたもの(~中略~)茶葉の質そのものは煎茶に劣るものではないため、価格の割りに良い味のものが多いとされている」と、ウィキペディアにありました。細かいので抽出も早く、しっかりとした味わいを楽しめるお茶なのです。「ケニアの紅茶にも同じことが言える!」というのが、この「ケニア山の紅茶の粉茶」を飲んだ感想です。準備方法はいつもどおり。4分の抽出時間。ストレートではしっかり紅茶の味がしており、強すぎずバランスが取れています。ミルクを加えて飲んでみたら、牛乳が紅茶の良さをしっかり引き出してくれたようで、バツグンの相性を感じました。
あー、ほんとうにおいしかった、また飲みたい…。
そんなわけで、このブログ内でも細々と「検証シリーズ」がありますが、何事も自分の五感を使って体験することは、とても重要だと改めて感じた次第です。いやいや、ほんと、久しぶりに「感動の紅茶」に出会ったわ~。
(写真上段左から)
BP1「山」、PF1「子供」、まぼろしの「粉茶」とその拡大写真。
(写真下段)
抽出した紅茶。茶こしに留まった出がらし。皿にのせた出がらし。