2007年9月10日発行 初秋号VOL.5
ケニア山のふもと・茶畑のようす
今回は、紅茶の畑や農家の様子をお伝えしたいと思います…。ケニア産の紅茶と一口で言っても、茶葉の産地や製茶工場はさまざま。ケニア西部の広大な茶畑は、外国籍の大企業が所有する大農園だったり、反対に私たちの「ケニア紅茶」は、ケニア山(5,199m)のふもとの、小規模農家が世話をする茶畑で摘まれた茶葉からできています。ここで見かける茶摘みは、ほとんどが女性によってなされています。日曜祝日を除くほぼ毎日、朝7時頃から茶摘みを始め、紅茶農家として登録してある最寄りのバイイング・センター(茶葉集荷場)に茶葉を持って行きます。収量が計られ、それが登録されて、お百姓さんの収入となります。茶葉集荷場には、製茶工場からトラックがやってきて、生葉を収集し、フレッシュなうちに工場へと運んでくれます。お昼をはさんでから、日が暮れるまで午後の茶摘みを続け、夕方にもう一度バイイング・センターに生葉を持って行きます。
熟練の茶摘みが一日に摘む量は28kgほどといわれています。一番上のやわらかい新芽と次の二葉だけを手際よく摘むには、経験が必要です。質より量を優先するような大農園では、おいしい紅茶づくりに最適とされている「一芯二葉」ではなく、三番目や四番目の葉までを摘み取ったりしますので、一日に獲れる量が多いときには40~60kgとも言われています。
「なぜ女性が茶摘み?」「男性は何しているの?」…そんな素朴な疑問が浮かぶかもしれません。外国企業の大農園では、雇われている茶摘み(長期契約)は、多くの場合が男性ですが、前述のとおり、私たちの紅茶の茶摘みはほとんどが女性。これは、この地域の農家の持つ茶畑が、平均20アール(40m×50m)と小規模なため(茶畑面積が小さいのは、茶の木を植えてから収穫できるようになるまで、少なくとも4年が必要で、貧しいのでその間待てないため)夫婦2人でお茶の仕事をするよりは、男性が現金収入を求めて町に出たり、茶摘みより力のいる仕事(畑で野菜を収穫、トラックへの積み込みなど)をしたほうが家計を支えられる、というのが理由のようです。
実はケニア山のふもとでつくられる野菜は、ナイロビの市場でも評判の味。そこで実ったメルーポテトは、普通のジャガイモよりも小ぶりで表面が赤く、しっかり味があるので、他のジャガイモと比べるとやや高めで売られています。また、日本でモンキーバナナと呼ばれている小さなバナナも特産。日本ではなじみの薄いクッキング・バナナ(マトケ)や、普通のバナナも豊富に実ります。
このあたりのケニア山・山腹の典型的な風景は、上の方(標高2,200m)が紅茶畑と一部野菜畑、中腹(1,600m)ではコーヒー、さらにその下(1,300m)の地域に行くとバナナ畑が広がる、といった具合です。少し余裕のある紅茶農家は、野菜栽培以外にも、乳牛を飼ったりして酪農もしています。
ケニアの食べ物・5
チャパティは小麦粉(強力粉)に塩少々、水(温かい湯)、サラダ油少々を加え、丸く平たくしたものを、フライパンで焼いたものです。他の料理に比べ、こちらもちょっと手間がかかるのでごちそうとも言えます。朝、青空食堂でチャイを片手に、チャパティを食べている人もよく見かけます。チャパティは、チャイと一緒に食べられるほか、マハラグエ(アズキ色の豆)や小さい緑色のンデング豆の煮込み料理と一緒に食べたり、ビーフシチューとの組み合わせが一般的です。女性よりも男性が好んで食べるという傾向があるようです。