ケニアからの手紙 Vol.30 2020年12月12日

◇ケニアに行ってまいりました

 

こんにちは、ひさこです。11月上旬に2週間ほどケニアに行っておりました。ナイロビ事務所の丸川さん、マネージャーのムンガイ氏との打ち合わせがメインの目的でした。「行けるの?」とか「ケニア?いいな」など、周囲のさまざまな反応がありましたが、無事に行って帰ってきました。ナイロビの丸川さんと事務所のスタッフも、みな元気です。ただ、丸川さんはアメリカ大統領選挙の行方をCNNで追いながら、ストレスがかなり高い日々をすごしていました。投票した半数近くが、あのトランプ氏を支持しているという事実、またバイデン氏の勝ち方に思ったほど勢いがなかった…、そしてコロナの再拡大などなど、選挙後もストレス高めのようでした。が、バイデン氏の勝利のお祝いしよう!ということで、ヤギ1頭を購入・つぶして、ケニア式バーベキュー「ニャマ・チョマ」を事務所スタッフ、家族・親戚にふるまってくれました。奥さま自慢の手料理(特にピラウは絶品!)も、たっぷりいただき、みんな大喜びでした。

 

さて、ケニアでもコロナが再拡大しています。日本では、ケニアの報道がほとんどありませんので、ざっくりと様子をお伝えしたいと思います。

今年のはじめ、ケニアではサバクトビバッタのほうがニュースになっていました。が、3月に入り、ケニアで初のコロナ感染者(海外からの帰国者)が見つかってからは、学校閉鎖、国際線ストップ、午後7時からの夜間外出禁止令、都市間の移動制限など、7月末あたりまで厳しい対策がとられていました。主要産業の紅茶(国の外貨収入の約25%。観光業に並ぶ重要産業)については、衛生対策をきちんととりながら、茶畑での摘み取り、製茶工場での製茶、輸送・輸出をするという方針で、現場は動いています。ですから、モンバサ港に出入りするコンテナ船の本数が減ることがありましたが、なんとか紅茶が日本に届いております。この状況でも12000km離れたケニアから日本にやってきたおいしい紅茶を、ぜひみなさまに味わっていただきたいと思っております。

 

8月1日に国際線が再開され、徐々に規制緩和となり、感染者数が抑えられている時期(陽性率5%前後)が少し続きました。新規感染者数が100人以下の日もありましたが、10月後半に突然1日1000人(陽性率15%)を越え、以来、感染者数が増えており、油断ができない状況となりました(陽性率等の数字はざっくりです。日々の増減もありますので、ご了承下さい)。

 

「ケニア山の紅茶」の産地メルーでも、感染者は出ていますが、大都市ほどではありません。今回のケニア訪問でも、いつものようにギドンゴ製茶工場や茶畑を訪ねたかったのですが、日々変化するコロナの状況で、残念ながら産地訪問を見送りました。というのも、突然、都市間の移動制限がかけられたら、戻って来られなくなりますし、乗合バスの4~5時間の乗車は、きっと窓を開けて走るとはいえ、ちょっと避けた方がよさそうだったからです。一応、乗り物は、一人分の席を空けて座るルールにはなっていますが…。

 

11月前半のナイロビは、小雨期で雲が多かったり、夜から朝にかけて雨が降ったりですが、昼間は雲が切れると太陽の光がまぶしく、そよ風もふき、とても気持ちがよかったです。気温はだいたい16~24℃くらい。南米原産といわれるジャカランダが、きれいな紫色の花を咲かせていました。ナイロビは、すごしやすく快適な気候だと改めて感じました。こんなに気持ちのいい気候なのですが、公共の場ではマスク着用が義務付けられています。していないと罰金2万シリング(約20,000円)。どこかの国のように「マスク着用を強制するな!」みたいなデモは、ケニアではありませんが、マスクに慣れていないということもあり、「息苦しい」「頭が痛い」という話をよく聞きます。とりあえずアゴにマスクの人をけっこう見かけました。

 

ナイロビから250km離れたケニア山のふもと、ギドンゴ製茶工場の生産部長・ムワゴ氏に電話をしたときに「こんなにきれいな山の空気を吸えないなんて、マスク着用はつらい…」とこぼしていました。たしかに山の美味しい空気、胸いっぱいに吸いたいですよね。

マスクの話をもう少し…。コロナの初期段階では、マスクの高騰があったようですが、いまは在庫・価格とともに落ち着いているようです。よくある使い捨ての不織布タイプが、1枚20~30シリング(約20~30円)。使い捨てず、何度か洗って使っている人が多いようです。色彩豊かなアフリカ布を使った手作りマスクは、300シリング(約300円)で売られていました。アフリカ人の肌には、原色がとても似合います。

 

今回の滞在は、平日は丸川さんのお宅に泊めてもらい、週末は友人に会ったりするのに便利な、町に近いいつものゲストハウスに泊まりました。事前に空室状況を確認したところ、「ぜひ泊まりに来て!」ということで、大歓迎してくれました。お客さんはいつもよりずっと少なかったけど、それでも団体の宿泊があったり、ちらほら宿泊者がいたり、スタッフの数を減らしながらも、衛生対策をとり、なんとか営業をしていました。

 

週末は、ウガリやティラピアなどの地元食をいただきに、町の食堂へ行きました。入口には検温、手洗い場、消毒のスプレーがあり、床には「Keep Distance(人との距離をあけよう)」のステッカーが貼ってありました。テーブル・席数は半分ほどに減らされていて、お客さんも少なめ。私には活気がないように見えましたが、コロナ初期段階のゴースト・タウン状態に比べれば、人はかなり戻ってきている、と現地に住む友人が話していました。

市内の移動には、Uber Taxiをメインで使っていましたが、それを使うまでもない、ちょっとした距離などには、バスを使いました。先ほども書きましたが、バスやマタトゥなどは、一席空けて座るのがルールです。ただ、時間帯、路線、混み具合によっては、守られたり守られなかったりがあるようです。

 

あと、夜間外出禁止令が発令されていて、夜10時から午前4時は外出禁止です(2020年11月現在)。10時以降に車を運転しているのを見つかれば、運転免許を取り上げだそうです。私は、基本的に夜は出歩かない、もしくは近場で早々に夕飯を済ませるようにしていましたが、一度だけ、友人宅におじゃまし、帰りが夜10時近くになったときがありました。車で送ってもらったのですが、他の車も急いでいるようで、かなりの高速でみな走っていました。それで事故にならないかと、ちょっと不安になりました。

 

少し長くなりましたが、ケニアの様子はこんな感じです。コロナ禍ですが、紅茶もとぎれることなく、日本のみなさまにお届けできている状況、生産現場のみなさん、ご愛飲のファンのみなさまに、改めて感謝を申し上げます。みなさまに支えられながら、今後もおいしい紅茶をお届けできるよう努力いたします。

 

◇奨学金プログラムのご報告

前回の「手紙」でお知らせした新一年生を含む61名の奨学生たちは、コロナの影響で3月から学校閉鎖、自宅待機です。高校最終学年Form4の学生たちのみ、KCSE(全国統一高校卒業資格試験)に備えるため、10月から学校に戻りました。ということで、みなさまからの寄付金と利益の一部を使い、彼らの2学期の学費を学校に支払いました。通常ですと、10月ごろからKCSEが始まり、12月に結果が出ますが、今回の試験は来年3月に延期されました。ほかの学年(1~3年生)は、いまのところ来年1月から授業再開の予定です。

 

今回は、当会の奨学金で高校に進学・卒業し、現在は大学で学んでいる、ポーリーン・キニャさんからお礼のメールが届きましたので、ご紹介いたします。彼女は、去年8月のセミナーに、卒業生として参加、スピーチしてくれた子です。

 

It’s Pauline, a former beneficiary of the Kenya-Japan Trade On Friendship Co. Ltd. from the year 2015-2018. Special thanks to our dad Masato Marukawa for finding it worthy to uplift a life through offering an education sponsorship. Together with the whole team you really impacted my life, before you came in for me I had minimum hopes of enrolling for the high school studies but through your efforts am now in college having my higher education. Soon after high school I joined Jomo Kenyatta University of Agriculture and technology, main campus pursuing a bachelor’s degree in Biochemistry and molecular biology. It is really picking up so well and am enjoying whatever am doing there. I have a dream of changing a life as you did to me, giving back to the society. Moments we shared as a family during the annual seminars still remain fresh. I loved every bit and it really gave me a sense of living, having it mind I had people who care. Words alone can never explain my gratitude but deep inside me I know how much you mean to me. My prayer is that the company blossoms to greater heights, profits day in day outs and above all more life impacted courtesy of the company. Thank you very much again and God bless you. I am hoping to hear from you.

(簡単な訳) 

ポーリーンです。2015年から4年間、日本ケニア交友会の奨学金プログラムで学費を支援してもらっていました。私たちの「お父さん」である丸川氏は、このプログラムをとおして私の高校生活を支えてくれました。丸川氏とチーム・支援者のみなさんが、私の人生に大きなインパクトを与えてくださいました。みなさんに出会う前、私は高校入学に際して、わずかな望みしか持っていませんでした。それが今、私は大学へ進み、高い教育を受けることができています。高校卒業後、ジョモ・ケニヤッタ農工大学のメインキャンパスで、生物化学と分子生物学の学士取得のため、勉学に励んでいます。大学で学ぶことすべてを楽しんでいます。丸川さんとチーム・支援者のみなさんが、私の人生を変えてくれたように、私も将来、地元に還元したいという夢を抱いています。毎年恒例8月のセミナーで、他の学生や関係者みなで共有した思い出は、いまでも新鮮に記憶に残っています。よりよい人生をどう送るかを教えてもらい、私の感謝の気持ちは、言葉では決して説明できません。みなさまの支援は、私にとって、とても大きな意味を持っています。日本ケニア交友会がこれからも大きく発展することを、心から祈っています。みなさまに神様の祝福がありますように。 

 

【補足】 国立大学の授業料は、必要であればHELB(高等教育向けローンを提供する機関)から借り、社会に出てから返済することができます。ナイロビ事務所のムンガイ氏も、このローンを利用し大学を卒業、返済は完了しているそうです。

     

 

郵便振替口座 00110-5-450063

日本ケニア交友会寄付金・奨学金係

ゆうちょ銀行 店名 ゼロイチキュウ 当座0450063

 

みなさまのご支援・ご協力に感謝申し上げます

 

 

 

◇編集室より

12月12日は、ケニア共和国の57周年目の独立記念日。日本経済新聞・朝刊に、ケニアの特集記事が掲載されますので、ぜひご覧ください!

 

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